祭シアター第2弾『LAB(ラボ)』制作発表の記者会見を行いました



7月24日(金)、秋田県庁プレゼンテーションルームにて、8月5日に初演を控える祭シアタ-第2弾「LAB」の記者会見を行いました。本事業は秋田県の助成(企業版ふるさと納税活用)を得て、文化を通して交流人口の拡大を図るものとして注目されています。


■主催者挨拶/株式会社あきた芸術村代表取締役 今村晋介

わらび座は今年2月で創立75年を迎えました。コロナ禍のどん底の中で、秋田県様と共に立ち上げたコンテンツが、この祭シアターです。苦しい時に歌ったり踊ったり、手を取り合って乗り越えてきた人々のエネルギー、それこそが祭りの本質であると思います。
第1弾「HANA」は秋田県で11,000人、3月には東京新宿の歌舞伎町タワーで6,000人を超える首都圏の皆様にお届けし、この公演を観た方がすでにわらび劇場に訪れ始めております。
そして、この夏、交流人口拡大を目的に日本の地域文化を世界に誇るジャパンコンテンツへと進化をさせたシリーズ第2弾、祭シアター「LAB」を制作、上演をいたします。

「LAB」は超参加型のシアターで、見どころは3つ。
1つ目は、ゲーム感覚の太鼓ロボット体験です。観客の皆さんは研究員として太鼓ロボットになり、一緒に太鼓を叩きます。皆さんのリズムや一体感次第で内容に変化が起こる工夫をしており、最後はみんなで踊る、新感覚の体験型ステージです。
2つ目は、世代も言語も超えた、ノーボーダーエンタメであること。「LAB」が描くドラマは、子どもからおじいちゃんやおばあちゃん、海外の方々まで、言葉の壁を超えて直感的に楽しめるステージです。
3つ目は、ここでしか見られない、日本三大盆踊りの夢の共演です。阿波踊り、郡上おどり、西馬音内盆踊りを、親しみやすい演出で楽しめる唯一のステージとなっています。

この夏、ご家族の皆さんで心の底から楽しんでいただき、秋田、そして日本の美しさ、KAWAIIを全身で感じていただければ幸いです。どうぞご期待ください。

 

■創作スタッフ挨拶/横内謙介(脚本・構成、演出)

「HANA」がとても盛り上がり、面白く出来上がったので、第2弾をというお話をいただきました。「HANA」はわりと大規模でしたが、今度は少し小ぶりなところでやりたいと。僕は小劇場出身なものですから、どちらかというと指先や足先までお客さんに見える空間の方がライブパフォーマンスとしてはいいんじゃないかなと思っていましたし、ルーツがそこにあるので、小劇場でやることに大賛成しました。
 でも「HANA」と同じように作るつもりだったんです。「HANA」の台本は10ページに満たない。ノンバ-バルの舞台なのでセリフがないものですから、台本は「何々が起こる」という箇条書きで、それをわらび座の芸術監督でもあった栗城宏さんがとても上手にまとめてくれて、本当に具体的な姿に生み出してくれたわけです。

今度は実験室が舞台です。我々、盆踊りのことを知っているようでよく知らない。しかし盆踊りは今世界的に流行っているんですね。南米のどこかとかいろいろなところで踊られていて、東京の盆踊りも外国人の方たちが浴衣を着て参加していて、すごく盛り上がっている。盛り上がるのはとてもいいけども、せっかく海外で盛り上がっているのに、正しい盆踊りが伝わっていないという危惧や報道がある。

そこから発想して、正しい踊りを世界に広めるためにAIロボットに踊りを覚えさせて、ここから世界に派遣しようという実験室というガワ(枠組み)だけ作って栗城さんにお渡ししていました。ところが急逝なさって、僕もできる限りのことはやるとは言ったものの、少し暗礁に乗りかかったのですが、そこで、出演者でもある三重野葵さんが栗城さんの遺志を継いでくれることになりました。わらび座にとっても、秋田県にとっても、日本にとっても、栗城宏さんというのはとても大事な人だったと思うんですけども、その喪失感の中からも、こうやって新しい希望が出てきている。わらび座も今いろいろな転機を迎えていると思いますけども、その中からまた新しい時代が切り開かれるんだという予感がしています。今回のこの公演が、新生わらび座にとって、とても大事なものになると思います。
 それともう一つ言うと、わらび座が今嘆いているのは、新しい男の子が入ってこない。東京もどこの劇場に行っても、スタッフもキャストを本当にやりたがっているのは女性ばかりで、若い男の子たちはどこに行ったんだろうと心配になるような状況なんです。わらび座もそこを心配していたのですが、このところのわらび座を見ていて、とにかく今は若い女性パフォーマーたちがすごく育っていて、彼女たちは魅力的だなと感じていました。なので、今回は自分たちの手元にある宝物をしっかり磨いて、みんなに見てもらいましょうよと。「LAB」の本当の主役は(フロア-の瀬川舞巴、遠田雅、久保田美宥を指して)この3人。男性が2人しか出ない舞台。でも、これも新しい時代のわらび座になっていくんじゃないかなという気持ちがしています。それを三重野さんが今、一生懸命、力を注いでまとめ上げてくれて、必ずいい舞台になると思います。どうぞご期待ください。

 

■出演者・創作スタッフ挨拶/三重野葵(太鼓ロボットのデコ太郎、民舞パ-ト振付、演出)

栗城さんの遺志を継いで、いい作品を、面白い作品、楽しんでいただける作品を全力で作っていきたいと思っています。
祭シアターは体験型、体感型ステージで、「HANA」の時は、僕がやっていた進行役のおかしこの太鼓のリズムに合わせてお客様に一緒に叩いていただくことをやっていたんですが、今回はお客さん一人一人が太鼓ロボットという設定なので、大きなスクリーンに出てくる太鼓バーを見ながらゲーム感覚で参加できる、体験できるところが一番の体感どころです。小劇場ならではの、お客さんが舞台に上がれるような距離感なので、盛り上がっちゃったら、最後はステージに上がって、僕たちと一緒に踊ってほしいなと思っています。

 

■期待の言葉/鈴木健太秋田県知事


今、お三方から意気込み、そして見どころをお聞きして、期待は高まる一方です。参加型、体験型と言いますけど、共演型と言ってもいい仕上がりなんだろうなと思います。とても斬新な、見どころ満載の良い劇になるのではないかなと思っています。
お話の中でもありました通り、栗城先生の急逝を乗り越えて、その遺志を横内先生と三重野さんがしっかりと引き継いで、この日まで来ていただいたということに敬意を表したいと思います。
秋田県も微力ながら支援をしておりまして、企業版ふるさと納税という、元々の財源は企業からのご支援をいただいております。その応援していただいた企業の皆様に、まずはこの場をお借りして、御礼を申し上げたいと思います。
昨日、ちょうど台湾、香港から帰ってきたところで、まさに西馬音内の盆踊りも話題になっていました。インバウンド観光客が日本に増えている中で、日本が昔から引き継いでいる文化の価値というものが、ますます見直されている昨今、本県の西馬音内の盆踊りも含めたところ三大盆踊りをモチーフとして、素晴らしい作品を作っていただいたということは、私たちにとってもありがたいことです。

秋田県はこれから観光客の皆さん、もっともっと訪れていただきたいという努力をしているところですけども、その有力なコンテンツとして、わらび座さん、そして祭シアターが、大きな役割を果たしていただけるんじゃないかなと思います。
公演期間が8月ということで、里帰りする人、または他県から秋田の夏祭りを見に訪れる方、これは国内外多くの皆さんがおいでいただいていると思いますので、そうした皆さんに、より深く秋田の魅力を味わっていただくためにも、私も一緒になって宣伝をしていきたいと思いますし、皆さんの熱い素晴らしい演技を期待をしたいと思います。

 

■パフォ-マンス披露「KAWAII盆踊り」(瀬川舞巴、久保田美宥、遠田雅)


■記者の質問に答えて

——今回のストーリーとして、AIロボットという最先端の技術と盆踊りという日本の伝統芸能の融合というのは珍しいと思うんですけども、どういったきっかけでそういったストーリーになったんでしょうか?

横内  まず、僕自身が盆踊りってよくわかっていなかったし、日本三大盆踊りという言葉すら初めて聞いたので、まずそこを調べるところからというか、知るところから始まっているんですよね。実際、それを知っていく過程がとても面白かったので、これはそのまま舞台の大きなストーリーになるのではないかなと。

1つは、この舞台の設定は研究室で、ロボットを作った人と、その研究をしている博士が2人出てくるんです。この人たちは、どちらかというと、いわゆるAIの最先端の日本を代表するような頭脳の人だという設定で。この人たちと踊りっていうのは、少し失礼な言い方になるかもしれないけど、一番遠い存在かなと。究極のデジタルを追求している人と、至って感覚的な踊りというものを研究せざるを得なくなった研究者たち。この振り幅が、現代の中で新たに盆踊りをもう1回探求するときに、1つ手がかりになるかなと。

もう1つ言うと、コンピューターの中に住んでいるかのような研究者の人たちをいかに踊らせるか。踊らないとわからないという話なんですけどね。結局、いくら研究したって盆踊りの正体はわからないよ。それよりも踊ってみた方が早いっていうような設定なわけです。なので、この研究者をいかに踊らせるかが大きなストーリー。むしろロボットたちの方が人間的に、踊らなきゃわからないと思うよっていうメッセージを出してくれるというストーリーを考えたり。
 でも、『HANA』の成功の話もそうなんですけど、これを発想するのは簡単なんですよね。僕たちが頭の中で考えればいいことだけど。だけど、おそらくこれは普通の東京のカンパニーとかで、いくら踊れる人を集めたところで、今わらび座がやるような味わいにはならない。『HANA』もそうです。やっぱり民舞とか民謡っていうものを、ものすごく長い歴史の中でずっと研究して、伝承してきた人たちなわけです。しかも、それは自分たちの地域のものでもない、日本全国のものをね。その説得力が『HANA』にも圧倒的にあった。
僕の友人の演劇人も何人か見てくれたけど、やっぱり何がすごいかというと、ああいう踊りをしっかり踊れている。しかも若い人たちまでが。そこのところに感動してくれているので、今回の「LAB」もいろいろなことを、新しい面白さを追求して、映像を使ってみたり、新しい音楽を作ってみたりするんですけど。でも一番大事なのは、結局、人間の体を使って、その体の中でずっと継承してきた踊りの姿とか、踊りに込められている精神とかが本当の本物としてあるのがわらび座。その本物具合って多分伝わるんじゃないかな。外国人の人も、初めて見るものでも、それが本物か、取って付けたようなものなのかっていうのは感じてくれるんじゃないかなと思います。だから、本当にこのカンパニーにしかできないことをやっているなっていう手応えを感じています。


——伝統文化と最先端のAIとの融合の舞台を通じて、伝えたいメッセージは? 

横内 :最近、これに限らず全ての舞台に関わっているもので思うことは、やっぱり我々の仕事も例外ではなく、やがてAIが大きな部分を担ってしまうだろうなと。簡単な構成台本ぐらいは、おそらく我々が苦労して絞るよりも簡単にAIが解決する時代が来てしまう。生身の人間は何か特別な技術とか表現力を持たない限り、もう勝負できない。
つまり、本当に生身の人間が、生身の今生きている命とか感覚みたいなものを、目の前で、同じ空間で見せていくことが、この最後の砦なんじゃないかなって思っています。だから、そこに一つ、今回は明確にメッセージしたい舞台だと感じています。我々が守るべきもの、これを失った時、本当に人間は無意味なものになってしまいかねない。だから本当にわらび座だとかっていうのは実は貴重なもので、人間が人間であるための最後の砦だというのが、今、特に実感をしているところです。

三重野:今回の舞台では15、6曲踊っています。それには民族芸能、日本三大盆踊りもありますし、ヒップホップや現代的な踊りもいくつか踊っているんですね。
僕たちわらび座は、民族芸能の踊りのことを民舞って言っているんですけど、「民」の「舞」と書いて民舞っていうんですけど、これはやっぱり、ただ現地の民族芸能をやっているだけではなく、そこに生きている人たちの心が踊りになっているものをわらび座はずっと舞台で作り上げてきて、民の舞として、民舞として舞台に上げています。今回も、日本三大盆踊りも、現代的な踊りも含めて、今生きている僕たちが踊る踊りとしてお客さんには見てほしいし、それを「かっこいいな」とか「可愛いな」って新鮮に感じていただきたいなと思っています。今生きている僕たちの踊りを伝えていきたいなと思っています。

 

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